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豚の丸焼き3
いつの間にか真っ暗闇。 そこに食を待つ多くの人々(80人くらい)と、オンガクと、燃える火。
寒くなってきたし、暗いし、いつしか豚を燃やす火は飛び火して、 あちこちたき火状態。
闇と火と音。おしゃべり、おしゃべり。 こんなに楽しいものはないと思った。
うっすらオレンジに見えるみんなの顔。 誰が誰だかわからない。だけれど、みんなで一匹の豚を食べる。
豚は結局、3時間でも上手く焼けずに、その後鉄板で焼いて食べたから、 ちょっと反省もあったみたいだけれど、もくもくと次々と焼けてくる豚を 食べるみんなの背中は不思議だった。なんだかすごく自由だった。
明るくなってから、昨日ほった穴を埋めたり、鉄板を洗ったり、後かたづけまで 愛おしいものだった。綺麗になった水道。物が再び収められた物置。 それから、何にもなかったみたいに元通りの広場。昨日のことは夢のよう。
基地から軍用機みたいな飛行機がブーンと飛ぶ。 笹の葉がゆれてる。いつもの風景。
とっくに卒業した美大の学食で、後輩とスパゲティを食べて帰った。 駅へ向うバスを待っている間、寂しくなってどうしようかと思った。
それからしばらくして、セーターのそでと、コーデュロイのスカートの右下が 炭で汚れているのに気がついた。
その服を着たまま家まで帰った。
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2008.11.19.Wed
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豚の丸焼き2
キャンプ場に、子供がやってきた。 5歳の男の子。ほっぺば若干赤くて、くりくりの目は生き生きしていて可愛い。 もう1人も男の子。同じくらいだろう。2人ともお母さんと一緒だ。
男の子の目の前には、どーんと仰向けで豚が一匹。お腹にはいろいろ詰められていて 三匹の子豚のオオカミみたい。その周りを、たくさんの学生が見守る。今日昼間から準備してきた学生から、今やってきたばかりの学生もいる。豚の身体を塩やハーブで擦ってしみ込ませた手が沢山。まだ洗わないで、作業を続けていたりする。
その腕の間から、5歳の男の子。すこし怖がってもいるよう。 この豚は、昨日の朝まで生きてたんだよ。八王子近辺で育ったんだよ。 それから、昨日の朝殺されて、今日、今ここでみんなと居るんだよ。
仰向けのまま、両腕両足を掴まれて、大穴へ向かう豚。 敷き詰めた小石の上に笹の葉を敷き、その上へ豚をいれる。
豚の穴の周りをみんなで取り囲んでいる。
それから何人かがそっと笹の葉をのせる。子供もみてる。 それから石をのせる。なんだかお葬式みたい。
私はなんだか音楽がほしくなって、ウクレレで「大宴会」という唄を唄ってみた。 ハンバートハンバードの曲で、葬式の曲なのだ。豚に捧げる曲としてふさわしいと思った。
石の上には、土が被せられ、薪がもられる。いよいよ葬式らしい。 シュロを新聞紙で包んで、火付けの役をつくった。男の子にも手伝ってもらった。
それからどんどん火が燃えた。3時間燃えた。 その間に、野菜のスープをつくる人。おしゃべりする人。火の番をする人。 空が暮れていくのと共に、火が大きく安定したものとなって、人がどんどん増えてきた。 あたしはずっとウクレレを弾いていた。
それから2人のミュージシャンがやってきて、1人の飛び入り太鼓たたきがいて、 豚に捧げる唄は、アタシの中でどんどん楽しいものになっていった。
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2008.11.19.Wed
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豚の丸焼き
八王子の屠殺所から、一匹の豚を頂戴してきた。 助手席から気にしてみれば、水色のブルーシートに包まれたそれは 車の中で死体でも乗せているかのよう。それにしても丸焼き日和の空。
武蔵野の秋のキャンプ場。先着隊にまざって、作業の分担。 私は薪集め係。 男性陣は、主に穴掘り。 笹の葉を集める人や、石を拾う人。 今夜の大いなるごちそうのために、まだまだ明るいうちから せっせと働きます。
まずは、工事現場。ペンキぬりのお兄さんに、薪をくださいと言ったら、 聞いておくから後で取りにきてみてとのこと。 それから材木屋。こないだ捨てちゃったところだよ。もっと早くきてくれれば沢山あったのに、と言いながらいつの間にかたっぷりの廃材を袋にいれてくれた。おじさんも夜、食べにきてくれたら嬉しいなと思った。お金でなく、お互いが必要とするタイミングで必要なものを交換できたらどんなに気持ちがいいだろう。そんなことを思った。 それから、美術大学にいった。卒業制作の準備そろそろの時期で、けっこういい廃材が沢山捨てられていた。こんなものなかなか落ちてないなんて形の木片や木の根っ子をみた。売店のおばちゃんからダンボールをもらって、小片をもかき集めた。よし、これで充分。
リアカーをおして歩く。友人が前、私は後ろ。車も走る道の端で、えっちらおっちら押していく。かたんことん、かたんことん。一歩一歩が確実な歩み。車輪があることで、楽に運べるけれど、それでも押す手には、ずっしりと手応え。びゅんびゅんと、車やバイクは抜かしていく。かたんことん、かたんことん、なんとなく馬や牛と共に歩むような感覚。不思議と心地よい。
辺りは少し暮れかけて、ついた頃には大穴ができている。お腹からすっぽり切られた豚には ニンニクやタマネギが詰められている。なんだか興奮してくる。ペンキ屋さんの薪は、塗料が強いので、いただかないことにした。
あたりはザワザワしている。隣に生えてる笹の葉が少しゆれている。 空にはヘリコプターが飛んでいる。基地が近いよう。もうすぐ日が暮れる。 さあ、豚を焼く準備に取りかかろう。
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2008.11.19.Wed
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やんやん
部屋のゴムの木。
私は部屋の模様替えをよくするけれど、その度にこの木の置き所に困ってしまう。 手のひらより少し小さな葉っぱが幾つもついた身長100cmくらいのこの木。
でも、いつも側にあって置き所のないこの木のことを、 私はいつも気にしているように思う。
今だって、一番そばにいる。
置き所のない、ハマりどころを探しているこの木は なんだか、私の置かれている状況みたいで
そのクセ部屋の中で、ずいぶん存在感と雰囲気を出しているこの木を いつもかなり放ったらかしでお水もあげないくらいだけれど 大事にしていこうと思う。
この木はしぶといから、私が一ヶ月くらい沖縄へぷかーっと旅に出てしまっていたとしたって、枯れやしない。
今根元には、沖縄のお土産の貝殻がおいてある。 巻貝もあれば、平たいのも。
置き所の無かった貝殻、それでいてとても愛着のあるそれが 上手くハマった場所。私がとってもハマった沖縄のお土産。
一見無駄なものばかりを集めては、その存在自体が 手持ち無沙汰なこの木よ。
いつか枯れるまで一緒にいましょうね。
私はこの部屋から出かけてばかりだけれど、 この部屋の空気に含まれる、水の粒子や二酸化炭素、それから酸素。 一緒に呼吸していきましょうね。
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2008.11.19.Wed
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棟梁の道具
去年の秋から冬にかけて通った職業訓練校で、 在来工法を教えてくれた棟梁のことを思い出した。
いい仕事には、いい道具が大切。
私たちは、数日かけて道具を磨いた。 残暑残る中、午前中から、日が暮れるころまで 磨いた。
磨いた包丁の先は、気持ちのよいまっずぐな形になり、 光を反射して心地よく光った。
でこぼこしている部分を 慣らしていく作業。
研ぎ石に擦りつけて何度も何度もくりかえす作業。
数回じゃ変化は解らない。
何度も何度もやって、麻痺してくるくらいやって やっとちょっと磨かれたかなってくらいだ。
どのくらいやったら、棟梁にokもらえるか びくびくしながら研いだ。
研ぎ過ぎちゃったらどうしようと最初は思ったが、 その心配はまったく及ばない。
私がやりすぎたかなと思うくらいで、 棟梁としては少したりないかな、 といった塩梅だ。
もうすぐ春になる。
どうして今になって、 棟梁と包丁研ぎのこと 思いだしたのかな?
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2008.03.27.Thu
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